高齢化社会に備えて「バリアレス縁石」導入 〈新潟市行政視察〉 2018.7.24
将来を見据えた交通施策について先進的に取り組んでおられる新潟市に行政視察を行いました。
新潟市では、バス事業において高齢者をはじめとする交通弱者と言われる方々にとってバリアフリー効果の高い「バリアレス縁石」を導入したバス事業が展開されていて、バス利用者の減少に歯止めがかかり、持続可能なバス交通の土台が構築されてきています。大津市では、進みゆく人口減少、少子高齢社会に備え、「大津市地域交通網形成計画」の策定をめざし取り組みが進められていますが、「バリアレス縁石」導入も視野に入れるよう要望して参ります。
「バリアレス縁石」:停留所を特殊な形状の縁石に変え、バスの運転手が縁石の最下部にタイヤを沿わせて車体を寄せられ、歩道際から10センチほどの近さで停車し、乗降口と停留所の隙間や段差が小さくて済むようになる縁石のこと。縁石にタイヤを正着させることで、杖やシルバーカーの必要な高齢者、ベビーカーを押す子育て世代の方、車いす使用者や視覚障がい者といった、いわゆる交通弱者にとって快適に利用できる環境となる。現在、高いバリアフリー効果があるため、新潟市だけでなく岡山市や姫路市、横浜市でも導入されつつある。
![]() バリアレス縁石が導入されたバス停 |
![]() 縁石ぎりぎりによせ、タイヤをすりつけて停車するバス |
![]() 縁石のサンプル |
町中心部に、あたたかい賑わい空間を!〈紫波町行政視察〉2018.7.5
町中心部に、あたたかい賑わい空間を!
紫波町オガールタウンでの町産材を活用したまちづくり
岩手県紫波町では、JR紫波中央駅前の遊休地の再開発が行われ、平成24年以降に官民協働のオガールプロジェクトによって、町役場・図書館・体育館・ホテルや産直売り場、広場が整備され、その取組を視察した。
オガール施設内では、エネルギーステーションにおいて町産木材のチップを燃焼させて冷暖房をまかなっているシステムが整備されており、町役場の光熱費はかなり削減されたそうだ。エネステに木材チップを搬入し(写真2)、それをボイラー(出力450kW、写真3)で燃焼させたエネルギーで、温水・暖房システム・吸収冷凍機によるクーラーを稼働し、各施設にパイプで送られる。温熱・温水利用・冷房利用の有無は違うが、温熱は全ての施設で利用されている。冬期の暖房をこれですべてまかなえるオガールエリア全体の大型セントラルヒーティングシステムであり、効率がよい。
また、オガールエリアの辺縁部では、住宅(オガールタウン)が作られた。行政主導で土地と再エネ利用システム完備、高断熱のハイエンド住宅を、区画整備事業の一環で用意し、現在も新規建設が継続中である。その他、オガールエリア内では、町産材による木造の体育館・産直販売所・マルシェが行える広場など、町の中心部にふさわしい「観光客や地元民が集いやすい」施設であり、若い人も含め人の多くの出入りがみられた。
紫波町で、再生可能エネルギーを利用した施設群をつくったのには大きな理由があり、林業が盛んなことに加え、周辺山林にて松枯れ被害木が多く発生していたことにある。被害木などを原料に、3セクの紫波町農林公社がチップを製造し(写真4と5)、トラックでオガール施設へほぼ毎日搬出する。間伐材や松枯れ木は、「運び隊」というボランティアが公社のチップ製造所まで木材を運搬し(写真6)、町内のクーポン券と交換される。年間約1,500tもの木材がチップ利用されており、「間伐材を燃料に」というが徹底して行われていたことがわかった。
間伐材や松枯れ木材は、放置が治水上のリスクともなりうるので、全国的に自治体や林業者が頭を悩ませている問題であり、このような燃料利用による山林廃材利用は、一つの解決策であろう。クーポンがまだ町内で広まっていないことや、町民のエコ意識の向上へ繋げていく必要という課題はあるが、再生可能エネルギー利用の大変参考になる取組であった。
![]() 写真1、オガールセンター(左)と紫波町役場(右) |
![]() 写真2、エネルギーステーションの木材チッププール視察中 |
![]() 写真3、メインボイラー(450kWh) |
写真4、チップ製造機械 |
![]() 写真5、つくられた木材チップ |
写真6、松枯れのアカマツ材やスギ間伐材 |
柏の葉国際キャンパスタウン構想〈県外視察・千葉県柏市〉2017.7.14

ゼロからのまちづくりというある意味特殊な事例ですが、まちづくりのビジョンが示され、これに基づくまちのブランディングが行われているという点で、市民、事業者をしっかりと巻き込んだ取り組みとなっている事例として参考にすべきであると考えます。
大津市の都市計画においても、誘導、規制を行う以前にやらなければならないことであると考えます。柏の葉キャンパスタウンの事例は、公と民間事業者と大学の連携の先導的なプロジェクトであると同時に、開発を行った民間事業者の郊外型開発案件のテストケースとしての位置づけが強く、この案件だけでの採算を考えた事業ではありません。
一方、人口減少という日本全体の課題の中で、この先の宅地開発を続けることをどのように見るか、歴史のある町では、空き家問題や再開発などの課題をどうするかなど、地域それぞれの特徴や課題に向き合った議論が必要であると考えます。

「エコティかわね」〈県外視察・静岡県川根本町〉2017.7.12
一般社団法人「エコティかわね」は、川根本町の自然を生かした地域観光(エコツーリズム)を柱に農林業や商工業とも連携し、地域の活性化を目指しています。地域に移住してきた人や若者の視点を取り入れ、地域の観光資源を活用し取り組まれています。「公」では「横の連携が不得手」「職員の異動」などが原因で、事業の効率性や継続性に課題がありましたが、法人化することで、機動性の高い広報活動や民間連携など、効率的、継続的に事業展開できるようになり、地域の観光で成果を上げています。
自分たちのまちは自分たちの手でつくる、という気持ちを大切に取り組まれている「エコティかわね」に学ぶことは大津市においても多いと考えます。持続可能で地域資源を活かしたまちづくりに向けて、実効性の高い手法、仕組みの構築について提言していきたいと思います。

